AUTUMN & WINTER 2025-26 COLLECTION
ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーから多大な影響を受けて制作された、JOHN LAWRENCE SULLIVAN 2025年秋冬メンズコレクション。キーファーの作品にも色濃く表現されている、彼自身が幼少期に体験した第二次世界大戦直後の記憶。それらと交錯するかのようにして生み出されたミリタリーウェアには、当時の“軍服”に見られる袖のパターンを拡大解釈し、極端にラウンドさせたシェイプを採用。同様のパターンはテイラードジャケット、バイカージャケット、デニムジャケットなどにも取り入れられ、今シーズンを象徴するものとなっています。
積み重ねられた「時間」や「層」といったキーファー芸術の根幹からも深い感銘を受け、作品に登場する「錆」や「黴」などをテキスタイルデザインへと落とし込むべく、アナ・アホネンとカタリナ・ランバーグがグラフィックを制作。プリントやジャカードだけでなく、職人の手作業によるレザーのヴィンテージ加工までもが、重厚かつ退廃的な雰囲気をさらに強調させています。2023年に発表された作品『Le Prométhée mal enchaîné』に登場する「鎖」に着目したシルバージュエリーも制作。ネックレス、ラペルチェーンやキーチェーンに、強めに燻しを施したシルバー925を用いることで、時が織り成す重みや劣化を表現しています。
ウィメンズコレクションでも、キーファーが表現してきた女性像に着目。18世紀末ヨーロッパの女性たちの装いを想起させるコルセットラインや、パニエのヴォリューム、ドレスのドレープをJLSらしい現代女性服へと取り入れています。極端にくびれたウエストラインを創出しつつも、クロップド丈のトップ、カマーバンドや極太のアイレットベルトを巧みに組み込みことにより、決して窮屈さを感じることのないスタイリングへと昇華。また、ベルギー人画家ミヒャエル・ボレマンスの作品に登場する女性像からも着想を得ています。『The Balloon Ⅱ』(2011年)や『The Angel』(2013年)に見られる静けさや緊張感、佇まい、生地感、色彩感覚に至るまで、あらゆる要素がコレクションの細部へと落とし込まれているのです。