強さと弱さ。美しさと醜さ。規律と衝動。理性と欲望。解放と拘束。男性性と⼥性性。
それらは対⽴するものではなく、⼀つの⾝体の中に同時に存在しています。どこか⽭盾しているようにも思える、そんな揺らぎに⾝を置く状態を「境界に存在する⾝体」と捉え、相反する要素を共存させることに着⽬して制作しているのが2027年春夏コレクション。決して曖昧な境界を消し去ることなく、その緊張関係そのものを纏うための服を提案しています。
重要な起点となったのが、フランスの写真家Bettina Rheimsによるポートレート写真集『Modern Lovers』(1990年)。
そこには社会的役割や理想像、ジェンダーに囚われることのない、既成概念から逸脱した⾝体表現が写し出されています。
メンズウェアでは、ボートスリットネックラインのトップス、スカートのように⾒えるショーツ、ヒールを取り⼊れたシューズなどを制作。反対に、メンズのフォーマルウェアに⾒られるダブルカフスシャツ、ミリタリーシャツを拡⼤解釈させたミニ丈のジャンプスーツなどをウィメンズウェアのカテゴリーで制作し、ジェンダーコードの境界線を意図的に曖昧にすることを探求。テキスタイルにおいても、⼥性性や装飾性と結び付けられることの多いラッセルレース、ネットチュール、クラッシュベロア、パテントなどを多⽤し、アンドロジナスな⾝体表現へと結び付けています。
⽇本的な「縛り」にも着⽬し、テーラリングに内在する規律やルールとしての縛り、そして⾝体を拘束する⾏為としての縛りという⼆つの意味を持たせています。Nancy Grossmanのボンデージドローイングから着想を得たテーラードジャケットやテーラードコートには、ラペルの内側から表地と同素材のテープが伸び、⾝体を拘束するように結び付けることができる、ボンデージを想起させるディテールを取り⼊れています。
変化や再⽣を象徴する存在として、脱⽪を繰り返す蛇の⽪膚に着⽬し、スネークやリザードのパターン、パイソンレザーなども⽤いています。それらは装飾的モチーフとしてではなく、コレクションテーマを強調する「第⼆の⽪膚」として登場。シューズ、ベルト、バッグ、グローブなどに取り⼊れられています。

